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社会の閉塞感を打ち破る大きな原動力となりうる女性や若者の活躍の場を広げ、一人ひとりが力を発揮でき、一人ひとりがリーダーシップをとり、力を発揮し行動することによって、誰もが自分らしい生き方のできる社会の実現を目指します。そのために、女性のエンパワーメントを促進しながら、グローバルコミュニティに対する貢献度を高めることを目的としてWashington Women’s Dialogue(WWD)を開催しています。WWDでは、国際問題や社会問題など幅広いイシューを考えつつ、先達の生き方に学ぶ場を提供します。ワシントンDCを拠点にロールモデルとなる各界のリーダーをゲストスピーカーに迎え、ライフストーリーを共有しながら、少人数でスピーカーと身近に議論できる機会を提供いたします。本イベントシリーズはMaureen and Mike Mansfield Foundationのご協力をいただいております。
2017年9月19日のスピーカーは、米国国立衛生研究所(NIH)で最先端の医療研究に取り組んでいらっしゃる武部直子氏と小林久隆氏です。お二人ともがん研究にて第一線で活躍されており、小林氏はがん細胞に近赤外線を当てるだけで、わずか1分足らずでがん細胞が死滅してしまう画期的な「光免疫療法」について研究をされており、オバマ前大統領が、2012年の一般教書演説にて取り上げたことでも知られています。武部氏は、同センターの開発治療外来(Developmental Therapeutics Clinic)の副部長、早期臨床治験開発プログラム、トランスレーショナルサイエンス・セクション・ヘッドとしてご活躍です。特に武部先生は開発治療外来を通して治療のデザインからデータ分析調査を行うなど、なかなか知りえない興味深い内容に加え、お二人が日本から米国へ拠点を移しどのようにご自身のキャリアを確立されてきたのか、これまでの道のりについ
武部 直子氏 NIH国立がんセンター開発治療外来副部長、早期臨床治験開発プログラム、トランスレーショナルサイエンス・セクション・ヘッド
10年間勤めたNIH国立がんセンターがん治療評価部門(CTEP)から、同センターの開発治療外来(Developmental Therapeutics Clinic)の副部長、早期臨床治験開発プログラム、トランスレーショナルサイエンス・セクション・ヘッドとして2017年6月に異動。CTEP在籍中は、がんの早期薬剤開発のため産官学連携のもとで全米の大学医学がんセンター臨床治験を統括。NIH国立がんセンター以前は1999年よりメリーランド大学医学部血液腫瘍内科及び病理学科のアシスタントプロフェッサー、骨髄移植部門のアテンディングフィジシャン、がん実験治療学のラボの主任研究者。多発性骨髄腫の薬剤開発研究、臍帯血ステムセルの体外増殖、臍帯血ステムセル同種移植などの研究を行っていた。1988年に弘前大学医学部を卒業、日本で3年間の臨床研修の後、1991 年に渡米、サンフランシスコのUCSF関連病院であるCalifornia Pacific Medical Centerで内科レジデントを行い、ニューヨークのメモリアルスローンケタリングがんセンターの血液腫瘍内科フェロー、分子薬学治療学部門で遺伝子治療の研究をポスドク時代に行った。現在NCI Precision Medicine Initiativesの一つである “Exceptional Responder Initiative”ならびに “NCI-MATCH”のインベスティーターを勤め、NCIプロボカティブ・クエスチョンチーム、キャンサームーンショットの“ヒト腫瘍アトラス”のプロジェクトメンバー。Elsevier出版社のジャーナル、”Current Problems in Cancer”のアソシエートエデイター。日本のがん免疫治療ガイダンスワーキンググループの海外アドヴァイザー。米国内科専門医、血液学科及び腫瘍学科専門医。
小林 久隆氏 Chief (Senior Investigator), Lab. Molecular Theranostic, Molecular Imaging Program, Center for Cancer Research, National Cancer Institute, NIH 分子イメージングプログラム・アメリカ国立がん研究所・米国NIH 主任研究員
1961年西宮市生まれ。1987年京都大学医学部卒。1995年同大学院修了し医学博士修得。1995年よりNIH臨床センターフェロー。2001年よりNCI/NIHシニアフェロー。2004年よりNCI分子イメージングプログラムで主任研究員として、基礎研究開発部門を設立し主導。専門は、がんの新しい画像診断方法とがん細胞の超特異的治療(近赤外光線免疫療法)の開発。近赤外光線免疫療法の開発は、2012年にオバマ大統領の一般教書演説で紹介され、2014年にNIH長官賞を受賞した。近赤外光線免疫療法は、2012年にアスピリアン・セラピューテイクスにライセンスされ、2015年より頭頸部がん患者を対象にした最初の臨床治験が開始され、2016年12月よりこの治験はPhase 2に進んで進行中である。これらの開発で4回のNIH Tech Transfer Awardを受賞しており、2015年にNCIでは今世紀に入って初めての日本人テニュア主任研究員となった。日本では第38回日本核医学賞等を受賞する研究者であったと同時に、11年の臨床経験がある放射線診断、核医学、消化器内視鏡の専門医でもある。これらの日米での功績によって2012年に、日本政府の国家戦略室より「世界で活躍し『日本』を発信する日本人」の表彰を受けている。現在、アメリカ化学会の雑誌など欧米の7誌で編集委員、多くの国際学会でプログラム委員をしている。